普通の日

ハーバード大学の学生は恐るべし

遅くなりましたが、明けまして、おめでとうございます。

新年早々、驚いたことがあります。

それは、ハーバード大学の講義と学生の質の高さです。TVで「ハーバード白熱教室」というNHKの正月番組を放映していました。実はこの番組、2010年の4月から放送されたもので、今回が再放送でした。

米国の有名な政治哲学者、マイケル・サンデル氏は、米国政府の諮問委員会の委員も務めており、ハーバード大学の名物教授です。毎回1,000人を超す学生が受講するくらいの人気ぶりに、大学もメディア公開へと踏み切ったそうです。ハーバード大学の講義がメディアに公開されるのははじめてのことです。

番組の冒頭、マイケル・サンデル教授は、「哲学は決して難しいものではなく、身近な出来事から掘り下げていくことができる」と語っています。この番組は全12回に渡って、「JUSTICE(正義・公正)」について日常の誰にでも起こりうることから考えていく内容です。

詳しい内容はインターネットに譲るとして、まず「政治哲学」という分野があまりにも、私たちの毎日の生活と密接に関係していて、社会生活を送る以上は避けては通れない問題提起がされていることを知りました。

講義は、サンデル教授が一方的に話をするのではなく、受講している学生と対話をしながら、皆で理論をつくりあげていくような進め方で、差し詰め、現代版のソクラテスといった感じでしょうか。ぐっと集中しないと内容に付いていけませんが、あまりにも面白くて12回ぶっ通しで観てしまいました。これも正月だからできることです。

そして何よりも、ハーバード大学の学生達のレベルの高さに驚きました!講義の内容に対する洞察力というか、質問力というべきか、とにかく内容をしっかりと把握するだけじゃなくて、自分の言葉に通訳してから独自の理論展開をする。しかも、特別な1人、2人じゃなくて、議論に参加している多くの学生がそうなんです。

だから、ハーバード大学から政府や企業のトップ、優秀な学者や思想家を輩出しているんだな~と思いました。マイケル・サンデン教授も圧倒するほどの理論展開をする学生もいました。さらに驚いたことに、サンデン教授が、「うちの学生ならこれくらいの議論はするだろう」ということを見越して、講義のシナリオや資料を準備していることです。

僕は、リバタリアンが主張するような米国型資本主義が大嫌いでしたが、この講義の一貫テーマである「正義・公正」の道徳感に共感して、リバタリアン思想を批判している多くの学生たちの意見を聞いて、今後の米国を政治や経済を支える若者たちを心強く思いました。

せっかくなので、ちょっとだけ講義の内容と感想について触れてみたいと思います。

まず、「富は誰のものか?」という問題提起です。リバタリアンは、資本主義経済の中で稼いだ莫大の富を税金をいう形で政府に徴収されて、社会に再分配されることを「盗み」だと主張しています。本人の自由意思に基づいていない税金徴収は、人権侵害だと。沢山稼いだ人はそれ相応の努力をしているのに、あまり努力もしないで稼いでいない人をなぜ助けないといけないのか?プロジェクターには、マイケルジョーダンやビルゲイツの年収や資産が表示されました。

しかし、ここで見落としている重要な問題提起がされました。それは、莫大な富を得ている人もそうでない人も多くの場合は、社会に参加し、政府が運営する公共資本を享受していることです。

リバタリアンが主張する資本主義経済自体も巨大な公共資本のうえに成り立っているという事実です。彼らの主張を通すならば、税金を払わない代わりに社会のすべての公共サービスを享受してはならない。道路だって走ってはいけない。医療も自前で用意して下さいという反論ができます。
(そういう議論を学生がけん引している場面があるということが凄いです)

もし、富を社会に還元すべきなら、それは本人が承諾して、自由意思で自由設定の金額を払うべきであって、義務して納税するのはおかしい。というリバタリアンを擁護する意見もありました。

マイケルジョーダンを例に、努力をしてきたといっても、努力だけじゃない恣意的な何かに恵まれて生まれたわけで、社会に恩返しするのは当然だ、という意見もあったり。

まあ、まあ、永遠と続く議論なのですが、あらためて考えさせられたことは、僕は自由人ではなく社会人であること。つまり、市民の義務を負い、政府に尊厳を認められた社会人であることです。仮に沢山の富を手に入れることが出来ても、それは社会に支えられてきたので、その一部を還元する「義務」を負っている。そのとき、「これが政治哲学っていうんだ」と実感できました。

…ま、内容はいいかな。

とにかく、日本の学生も社会人も、政治家も、あらためて政治哲学のことを勉強してほしいと思った。

今日も、ありがとう。

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